石川粟津温泉「ゆのくにの森」巡り歩き

加賀の伝統芸能体験

石川県小松市粟津温泉と加賀市山代温泉の中間ほどに在る「ゆのくにの森」は、石川加賀と福井の伝統工芸が体験できるユニークな施設である。「森」という字が入っているだけあって、敷地は豊かな林の木々が生い茂り、敷地の中を散策するだけでも結構な時間がかかる。とにかく広い。

石川県といえば江戸時代以前から藩主前田家の政治手腕鋭く「加賀百万石」と称され栄えてきた。初代、前田利家は京都からあらゆる分野の職人を招聘し手厚くもてなしたことで、京都とはまたひと味違う金沢の文化が花開いた。元々、輪島塗、山中塗、加賀御国染、古九谷などの伝統工芸の下地があったところへ当時としては斬新な都の風が吹き込んで、加賀の伝統工芸は全国的にも洗練されたものとなったのである。

この「ゆのくにの森」はそれら古来からの伝統工芸を簡単に親しみやすいものに工夫して、北陸を訪れる観光客に楽しんでもらえる「体験教室」をあれこれと提案しているのが特徴だ。「輪島塗の館」や「九谷焼の館」など全部で11の体験可能な館がある。

素晴らしいのは、これらの館の建物の多くが、石川県、福井県各地から移築された古民家であることだ。江戸時代末期から明治時代にかけて建てられた茅葺き、あるいは瓦葺きの見事な民家を上手に利用して雰囲気を盛り上げている。いっとき、この「ゆのくにの森」は経営状態が悪化した時期があったのだが、昨今の本物指向の流れを受けて、客足が戻り始めている。品質の高い体験を提供し続けて頑張って欲しいものである。

それぞれの館にはそれぞれの伝統工芸の製品が展示販売されている。それら商品もとても良い品質だ。粟津温泉や山代温泉、山中温泉、芦原温泉に宿泊する際にはぜひこの「ゆのくにの森」まで足を延ばして「北陸」をちょっとディープに楽しんでもらえたらと思う。お勧めの施設である。

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