国道8号線を北上すると、九頭竜川を渡る橋の左手に丸みを帯びた奇妙な形の建物が目に入ってくる。
これは「森田配水塔」という市水道の給水塔だ。
ニックネームは「マイアクア」。
福井で生まれた「コシヒカリ」の米粒をイメージしたデザインが可愛らしい。
福井市の北西部地域に供給される市の水道はかつては九頭竜川の伏流水から採取していたが、平成20年に新設されたこのタワーがその役割を担うこととなった。
その際、地下50メートルを流れる地下水を新たな水源として確保した。
河川の伏流水はその河川の影響を受けやすいが、地下水ははるか上部の渓谷を水源に持つために水質・水量ともに安定している。
事実、この森田配水塔が汲み上げている地下水は遠く勝山の山間に降った雨雪が地層深く浸透して100年の時を経て汲み上げられているものだ。
ちなみに、私の自宅がある地区もこの森田配水塔の恩恵に浴している。
この配水塔はその敷地内に風力、水力、太陽光の各自然エネルギー発電設備を持ち、給水ポンプ、街灯などのこの施設の電力をまかなっている。
「マイアクア」には芝生がきれいな広場がある。小さな子供がいる家族なら、天気のいい日にここにピクニックに来たら楽しいだろう。
配水塔内部は「水」について学べる映像プログラムがあったり、幼児向けの遊具が少しあって、中でも遊べるようになっている。
5階の展望台からは眼下に九頭竜川の眺望が素晴らしい。
さながら、陽光に映えて銀色に輝きながら地を這う龍そのものだ。